障害年金における障害の種類ごとの認定基準について
障害の程度の具体的な認定に当たっては、「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」が設けられています。下記はその障害の種類ごとの認定基準になります。
その他の疾患による障害の程度は、全身状態、栄養状態、年齢、術後の経過、予後、原疾患の性質、進行状況等、具体的な日常生活状況等を考慮し、総合的に認定するものとし、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状があり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。
その他の疾患による障害は、「眼の障害」から「高血圧症による障害」において取り扱われていない疾患を指すものであるが、本節においては、腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症、人工肛門・新膀胱、遷延性植物状態、いわゆる難病並び臓器移植の取扱いを定める。
腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症
ア)腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症とは、胃切除によるダンピング症候群等、短絡的腸吻合術による盲管症候群、虫垂切除等による癒着性腸閉塞又は癒着性腹膜炎、腸ろう等をいう。
イ)腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症の障害の程度は、全身状態、栄養状態、年齢、術後の経過、予後、原疾患の性質、進行状況、具体的な日常生活状況等を考慮し、総合的に認定するものとする。
人工肛門、新膀胱
- 人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定する。
なお、次のものは、2級と認定する。
(ア)人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
(イ)人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの
※なお、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する。
- 障害認定日(障害の程度を認定する時期)については、人工肛門を造設し又は尿路変更術を施したものは、それらを行った日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とし、新膀胱を造設した場合はその日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
(ア)人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合、障害認定日は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日または新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
(イ)人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合、障害認定日は、人工肛門を造設した日または尿路変更術を行った日のいずれか遅い日から起算して6月経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
(ウ)人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合、障害認定日は、人工肛門を造設した日または完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
遷延性植物状態
ア)遷延性植物状態については、日常生活の用を弁ずることができない状態であると認められるため、1級と認定する。
イ)障害認定日(障害の程度を認定する時期)については、その障害の状態に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるとき(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
※ 遷延性植物状態は、次の①~⑥に該当し、かつ、3月以上継続してほぼ固定している状態において診断されることになりますが、障害認定日を判断する際の起算日は、診断基準の6項目に該当した日になります。遷延性植物状態の診断が確定してから3月を経過した日ではありません。
<遷延性植物状態の診断基準の6項目>
① 自力で移動できない。
② 自力で食物を摂取できない。
③ 糞尿失禁をみる。
④ 目で物を追うが認識できない。
⑤ 簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思疎通ができない。
⑥ 声は出るが意味のある発語ではない。
臓器移植の取扱い
ア)臓器移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過及び検査成績等を十分に考慮して総合的に認定する。
イ)障害等級に該当するものが、臓器移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間、少なくとも1年間は従前の等級とする。なお、障害等級が3級の場合は、2年間の経過観察を行う。
障害の程度は、一般状態が下記の一般状態区分表のオに該当するものは1級に、同表のエ又はウに該当するものは2級に、同表のウ又はイに該当するものは3級におおむね相当するので、認定に当たっては、参考とする。
一般状態区分表
区分 | 一般状態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
いわゆる難病については、その発病の時期が不定、不詳であり、かつ、発病は緩徐であり、ほとんどの疾患は、臨床症状が複雑多岐にわたっているため、その認定に当たっては、客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定するものとする。なお、厚生労働省研究班や関係学会で定めた診断基準、治療基準があり、それに該当するものは、病状の経過、治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
「眼の障害」から「高血圧症による障害」及び本「その他の疾患による障害」に示されていない障害及び障害の程度については、その障害によって生じる障害の程度を医学的に判断し、最も近似している認定基準の障害の程度に準じて認定する。
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