傷病手当金について
傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで働けなくなったときに受給できる給付金です。なお業務中の傷病は労災保険の対象になります。過去一年間の給与額のおよそ3分の2程度を、最長で通算1年6ヶ月にわたって受け取れます。
■傷病手当金の対象になる方々
傷病手当金の支給対象になられる方々は以下になります。
•協会けんぽ(全国健康保険協会)の加入者
•健康保険組合の加入者
•共済組合の加入者(公務員)
また原則、傷病手当金の対象にならない人
•協会けんぽ・健康保険組合・共済組合の加入者に扶養されている人
•国民健康保険の加入者(自営業者・フリーランスなど)
•後期高齢者医療制度の加入者
■傷病手当金の給付要件について
傷病手当金の給付要件は厚生労働省によって、以下のように示されています。
「被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった 日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、支給される。」
引用元:厚生労働省保健局「傷病手当金について」
このように病気やケガによる療養のために、3日連続して休業していることが給付のための要件となります。つまり休業4日目から傷病手当金の支給が開始されるわけです。
■傷病手当金と障害年金の違い
傷病手当金と障害年金はいずれも、傷病により働けなくなった場合に経済的なサポートを受けられる制度です。しかし、給付目的はほぼ同じであるものの、制度の特徴については、各々異なる点を持っています。傷病手当金と障害年金に関する違いについて、詳しく解説します。
■給付対象となる生活や身体の状態
傷病手当金は、傷病により働けない状態にある場合に給付が限られます。しかし、障害年金については必ずしも働けない状態にある場合に限らず、働きながらでも受給できるケースがあるのです。例えば、障害を原因として、作業内容が限定されていたり、労働時間が短縮されていたりと、勤務先から複数の配慮を受けながら働いている場合には、障害年金を受け取れる可能性があります。傷病手当金は働けない状態にあり、休業している日に対して支給されますが、障害年金は働きながらでも受け取れるケースがある点を押さえておきましょう。
■受給開始の時期
傷病手当金の受給開始日は最短で、休業を開始してから4日目です。一方、障害年金は受給を開始するまでに、かなりの時間を要することになります。障害年金は、原則初診日から1年6ヶ月経過した障害認定日以降に、初めて請求できます。しかも、申請準備をスタートしてから、実際に障害年金を受給できるようになるまでには、さらに4〜6ヶ月かかるのが一般的です。つまり、障害年金の受給に結びつくまでには、2年近くかかるケースもあるわけです。
■受給できる期間
障害年金は、障害の状態が障害等級に該当する限り受給し続けられます。一方で、傷病手当金を受給できる期間は、傷病が治っているか、治っていないかにかかわらず、通算1年6ヶ月までです。なお、傷病手当金の支給期間については、直近で制度改正が行われています。
改正前:傷病手当金の支給を開始した日から暦日で1年6ヶ月間
改正後(令和4年1月1日以降):傷病手当金の支給を開始した日から通算で1年6ヶ月間
■受給できる金額
傷病手当金と障害年金は受給金額も異なり、多くの場合、受給できる金額は障害年金よりも傷病手当金の方が多くなります。傷病手当金の支給総額は以下の計算式で求めることができます。
傷病手当金の日額 = 直近1年間の標準報酬月額の平均額の30分の1 × 3分の2
上記の金額を休業した日数分、受給できます。おおよそ過去1年間の月収の3分の2程度の金額を、一月あたりに受給できるものとイメージしていただくとよいでしょう。
一方、障害年金は受給できる障害年金の種類や、障害等級などによって支給額が決められています。
■傷病手当金と障害年金の違い
傷病手当金と障害年金の違いについて以下にまとめています。
傷病手当金 | 障害年金 | |
給付対象になる傷病の状態 | 働けない状態 | 障害等級に該当する状態(働きながらもらえるケースもある) |
受給開始時期 | 休業を開始してから4日目 | 障害認定日以降(初診日から2年近くかかることも) |
受給期間 | 休業を開始してから通算1年6ヶ月 | 障害の状態が障害等級に該当する限り受給できる |
受給金額 | 過去1年間の月収のおよそ3分の2程度 | 受給できる障害年金の種類や障害等級などによって異なる |
■併給調整について
支給の原因となる病気やケガが同一の場合、同時に傷病手当金と障害年金を満額受け取ることはできません。社会保障制度の中には、2つの制度を同時に受給すると、片方の制度が減額されたり支給が停止されたりと、調整される関係を持つものがあります。このように調整される仕組みのことを併給調整と呼びます。傷病手当金と障害年金は、併給調整される関係に該当するのです。
傷病手当金と障害年金の併給調整
傷病手当金と障害年金は、どのように調整されるか解説します。具体的には障害年金の支給が優先され、傷病手当金が調整されます。
障害年金は全額支給され、一方で傷病手当金は、障害年金との差額分の金額に併給調整されます。
例えば傷病手当金の日額が7,000円、障害年金の日額が5,000円の場合には併給調整されて、傷病手当金は2,000円のみ支給されます。このように当初もらえるはずだった傷病手当金と、併給調整を受けた後の金額とでは、ほぼ同額になります。つまり併給調整を受けても、受給額にマイナスは生じません。また障害年金の金額が傷病手当金の金額よりも多かったり、同額の場合には傷病手当金は支給されません。
■傷病手当金と障害年金が併給調整されないケース
傷病手当金と障害年金が併給調整されない場合があります。具体的には以下の2パターンが該当します。
•傷病手当金と障害年金で支給事由となる傷病が異なる場合
•障害基礎年金のみ受給する場合
併給調整を受けるのは、障害年金と傷病手当金で、支給事由となる傷病が同一の場合に限ります。そのためうつ病で傷病手当金を受給し、人工透析で障害年金を受給する場合には、支給事由となる傷病が異なるため、傷病手当金は併給調整されません。また、併給調整は障害厚生年金に対して受けるものです。そもそも障害基礎年金のみ受給する場合にも、傷病手当金は併給調整されません。
障害年金の対象となる傷病の初診日が自営業のときならば、現在厚生年金に加入している方でも、障害基礎年金のみ受給対象となりますので、傷病手当金は併給調整されません。
■障害年金の請求時期について
障害年金と傷病手当金を同時に受給した場合には、傷病手当金は併給調整されます。そのため「傷病手当金を受給し終えたタイミングで障害年金を受給した方が良いの?」といった疑問が生まれるかもしれません。確かに受給期間が重複しない方が、それぞれの制度を最大限活用できていると言える面があります。しかし、障害年金は申請から受給まで4〜6ヶ月ほどかかります。傷病手当金を受給し終えてから障害年金を申請しては、収入の空白期間が長くなってしまうのです。そのため、障害年金をいつ申請すべきかは、頭を悩ませる問題だと思います。
傷病手当金の日額 > 障害年金の日額の場合
傷病手当金の方が、障害年金よりも大きい場合には、傷病手当金の受給が終わる半年ほど前に障害年金の申請を行うのがベストです。障害年金は申請から受給まで、4〜6ヶ月ほどかかるのが一般的だからです。収入の空白期間を作らないために、障害年金申請をおよそ半年前から行うことをおすすめします。ただし早めに障害年金の請求を行う分、重複期間が生じて、傷病手当金を返還しなければならなくなるのも事実です。「収入に空白期間ができることより、あとからお金を返還するほうに抵抗を感じる」という方もいらっしゃるかと思います。その場合には傷病手当金の受給が終了する、およそ2ヶ月程度前から障害年金の申請準備をすすめましょう。傷病手当金の返還を生じさせずに、収入の空白期間も短くできます。
傷病手当金の日額 < 障害年金の日額の場合
傷病手当金の金額よりも障害年金の金額が大きいケースについては、判断は簡単です。障害年金の受給要件を満たした時点で速やかに申請を開始しましょう。
障害年金と傷病手当金はいずれも、ケガや病気で働けなくなった場合に、経済的な支援を受けられる社会保障制度です。しかし、支給される目的は同じでも、制度の特徴はそれぞれ異なります。また障害年金と傷病手当金を併給できる場合には、それぞれの制度から満額支給されるわけではありません。傷病手当金の受給額が調整を受けることになります。そのため、障害年金をいつ申請すべきかは、頭を悩ませるところだと思います。障害年金フルサポートセンターでは様々なご相談に数多くお答えしてきましたので、多方面でノウハウを培っております。お気軽に障害年金請求を専門に扱う障害年金フルサポートセンターにお問合せください。
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